泌尿器科(腎臓移植)
基本情報
泌尿器科が扱う臓器は、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、陰茎、精巣、副腎、時には副甲状腺など多岐に渡りますが、主にロボット支援手術(前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん)、 透析療法、腎移植をはじめとした腎不全外科手術(腎移植、内シャント、人工血管、PTA、透析アミロイドーシス関連症手術、二次性副甲状腺機能亢進症手術、腹膜透析)やアフェレシス療法を得意分野としています。 様々な理由で手術を希望されない方、合併症などのために手術をできない方、手術後の再発された方に対しては、化学療法、放射線治療も積極的に行っています。 抗血栓療法併用している前立腺肥大症の方の手術、難治性過活動膀胱など治療の難しい良性疾患の治療も行っています。患者さん一人ひとりの全身状態、生活背景、心情などに合わせた最適な治療の提供を可能にしています。
当院の腎泌尿器センターにおいては毎年多くの末期腎不全の患者さんの透析導入(血液透析・腹膜透析)や色々な疾患の手術等の治療目的で入院された患者さんの透析治療、急性腎不全の治療やアフェレシス治療を行っております。 腎不全関連手術では日帰り手術も数多く行っており、エキスパートによる低侵襲で成功率の高いより短時間での手術を行っております。また、バスキュラーアクセスの血管内治療も多数行っております。
腎移植は末期腎不全に対する唯一の根本的治療法であり、特に積極的に取り組んでいます。腎移植には親族から腎臓の提供を受ける生体腎移植と、亡くなった方から腎臓の提供を受ける献腎移植があります。 当院ではどちらも行っています。当院の腎移植件数は、2020年には総移植件数は450件を超え、大阪府下ではトップクラスの症例数であり、高い生着率と生存率を誇っています。 十分な検査や評価をした上で安全な手術を行い、きめ細やかな管理にて良好な成績を有しております。
国内外で学会報告や論文発表活動、学会事務局、研究会事務局運営活動を積極的に行い、最新知見の集約拠点としても活動しています。
診療科の特色
ロボット支援手術、腹腔鏡手術、腎不全外科手術を積極的に行っています。2020年7月に従来型のダビンチSiサージカルシステムに加えて最新のダビンチXiサージカルシステムを新規に導入しました。 2020年10月からは、最新のダビンチXiサージカルシステムを常時2台体制で手術を行っています。腎臓がん、前立腺がん、膀胱がんに対して従来よりも短い手術の待期期間(泌尿器科のダビンチ手術日:月曜日、水曜日、木曜日。最大12件/週)で対応しています。 複数の治験も含めた新規抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤、それらの組み合わせた治療を積極的に行っています。大学附属病院内の他診療科、他職種との連携、当院と関連病院間、関連病院とクリニック間、当院と周辺医療機関との連携を密に行い、 入院前、入院中、入院後の連続した治療を得意としています。前立腺癌に対しては、放射線治療科と共同で治療計画を立案し、外照射や小線源治療を行っています。前立腺肥大症や尿路結石治療については最新のレーザー機器を導入している大阪府内トップレベルの症例数を維持している関連病院と速やかに連携して最適な治療を提供しています。
腎不全治療に関しては、透析専門医、腎臓専門医を有し腎臓内科と連携し、腎不全の予防から血液透析・腹膜透析・腎移植(透析導入前の腎移植も行っています)まで含めた腎不全治療を得意としています。 単科で血液透析・腹膜透析・腎移植の腎代替療法が包括的に完遂できる全国でも数少ない診療科です。腎不全領域の医療・学術ともに全国でもトップクラスの水準を誇り、多くの透析専門医・腎臓専門医を輩出しております。また、大阪府下での透析治療、腎移植療法に関しては中心的な役割を担っております。
社会的ニーズと今後の展望
人生100年時代には患者さんの生活の質を保ったまま、いかに効果的な治療法を提供するかが重要です。腎移植は末期腎不全患者さんの生命予後を改善させる治療ですが、生活の質を改善する効果も大変優れており、積極的に取り組んでおります。また、単に長生きできるだけではなく健康寿命を延ばしたいという観点から、当教室では腎移植患者さんのフレイル・サルコペニアに関する研究を行うなど、社会的ニーズに応えるべく日々努力しております。一方で、がん治療の際には正常組織をいかに多く温存できるかが大切となります。そのことが治療後の生活の質を保つことに関わってくるため、腎臓がんの手術に際しては可能な限り部分切除術を行い正常な腎組織を温存することに努めるなど、最大限の工夫を行っております。これとは別に後腹膜腔肉腫など化学療法の効きにくい疾患の手術では、周辺臓器も含めてがん細胞をできるだけ取りきることが重要です。専門家軍団の診療カンファレンスで治療効果を落とさないように戦略立案も同時に行っています。当院泌尿器科は、発足当初から最新治療機器、最新治療法をいち早く取り入れて治療を提供しています。今後も連携の輪を幾重にも広げて最善のチーム医療を提供していきます。
泌尿器科は腎不全外科であるという側面も有しており、腎不全にならないような外科的な防御、そして不幸にもなってしまってからの治療を外科的にも内科的にも包括的に行う科であります。昨今、慢性腎臓病の有病率は増加している現状を背景に日本の透析患者数は増加しており、現在では人口の約400人に一人が透析を受けている現状があります。当科では1966年より透析療法に取り組み、早い時期より最新のオンラインHDF等も導入しております。また、手術療法に関しては、最新の透視装置や超音波検査装置を備えより成功率の高いスピーディーな外来治療を提供しております。そして大阪府下の多数の関連病院と連携してテーラーメイドな治療の提供を可能としております。当院は、平成30年11月から大阪府より難病診療連携拠点病院の指定を受けておりますが、その中でもアフェレシス治療を有する疾患は多く、今後、府内の拠点病院等とネットワークを形成し、難病の患者さんの治療をよりスムースに行う事に尽力してゆきます。
外来受付時間
受付場所 | 泌尿器科(腎臓移植)(3階) |
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診察受付 | 9:00~10:30 |
診療時間 | 9:00~16:45 |
- 午後は専門外来のみです。
- 初診のときは、外来診察担当表をご確認ください。
- 医療機関等からの依頼(診断・治療等)を基に専門的な検査・診断や治療を行っています。
受診する時には、依頼書(診療情報提供書<紹介状>、検査結果、レントゲンフィルム等)が必要です。
医局のホームページ
泌尿器科(腎臓移植):https://www.omu.ac.jp/med/urology/index.html認定施設
- 日本泌尿器科学会
- 日本透析医学会
- 日本腎臓学会
- 日本アフェレシス学会
疾患・治療実績
当科の得意分野
泌尿器科疾患全般を取り扱っていますが、特に尿路生殖器腫瘍、尿路結石症、血液浄化療法、腎移植療法を中心としています。前立腺癌、膀胱癌、腎癌、精巣癌などの外科的治療及び化学療法や免疫療法等を行っております。 手術については患者さまに対する侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に取り入れており、良好な成績を上げています。尿路結石症に関しては最新の体外衝撃波結石破砕装置を導入、良好な治療成績を上げております。また経尿道的内視鏡による結石の治療も多数行っております。腎不全に関しては、腎移植、各種血液浄化法、腎不全合併症の治療など、一連の治療をすべて当科で行っております。
対象疾患
泌尿器科は、腎、尿管、膀胱、尿道といった尿路系の疾患と精巣・精巣上体・精管・精嚢・前立腺・陰茎といった男性生殖器の疾患の診断と治療を主として行う診療科です。また、副腎の疾患や後腹膜の疾患や、副甲状腺疾患、透析療法に付随した整形外科疾患なども取り扱います。 これらの臓器に発症した腫瘍、炎症から結石、機能障害にいたるまで、すべての疾患に対し地域医療の中核機関として、先進医療を含めた最良の医療を提供しています。また終末期腎不全の治療としての腎移植、各種血液浄化法も精力的に行っております。
主な対象疾患
- 腎癌
- 水腎症
- 尿失禁
- 尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂尿管癌)
- 膀胱尿管逆流症(VUR)
- 神経因性膀胱
- 前立腺癌
- 停留精巣・陰嚢水腫
- 勃起障害(ED)
- 精巣腫瘍
- 嚢胞性腎疾患
- 男性不妊症
- 陰茎癌
- 尿路・男性生殖器感染症
- 男性更年期障害
- 副腎腫瘍
- 腎尿路外傷
- 腎不全(慢性・急性)
- 尿路結石症
- 前立腺肥大症(BPH)
- 副甲状腺機能亢進症
治療方法
- 腎摘除術・部分切除術
(開腹または腹腔鏡下) - 経尿道的膀胱腫瘍摘除術
(TUR-bt) - 尿失禁防止手術
- 腎移植
- 経尿道的前立腺切除術(TUR-p)
- 血液透析、on-line HDF
- 膀胱全摘除術
- 癌化学療法(全身・局所)
- 腹膜透析(CAPD)
- アフェレーシス治療
- ステント留置(尿管・尿道)
- 副甲状腺摘除術および
エタノール固定術 - 回腸新膀胱形成術
- 陰嚢内容および陰茎の手術
- VAIVT
- ブラッドアクセス手術
- 体外式衝撃波結石砕石術(ESWL)
- 後腹膜リンパ節郭清術
- 内視鏡下砕石術(経尿道的・経皮的)
検査・診断方法
- 腹部超音波検査
- 逆行性腎盂造影(RP)
- 残尿測定
- 経直腸的前立腺超音波検査
- 順行性腎盂造影(経皮的腎ろう穿刺術)
- 夜間睡眠時陰茎勃起検査
(リジスキャン) - 膀胱内視鏡検査
- 排尿時膀胱尿道造影(MCG)
- 精嚢腺造影
- 尿管腎盂内視鏡検査
- チェーン膀胱造影(チェーンCG)
- 精巣生検・精液検査
- 前立腺針生検
- 逆行性尿道膀胱造影(UCG)
- リンパ管造影
- 腎生検
- 膀胱内圧測定
- シャント血管造影
- 排泄性尿路造影(DIP)
- 尿流量測定
主な手術や処置の件数 2023年度(2023年4月~2024年3月)手術件数574件
(前立腺生検、ESWL、腎瘻造設術は、除く)
ロボット支援手術(197件)
腎部分切除術(RAPN;ロボット支援下) | 86件 |
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腎摘除術(RARN;ロボット支援下) | 15件 |
腎尿管全摘除術(RANU;ロボット支援下) | 10件 |
前立腺全摘術(RARP;ロボット支援下) | 71件 |
膀胱全摘術(RARC;ロボット支援下) | 15件 |
がん関連手術
1.腎臓(主に腎臓がん113件)
腎部分切除術(RAPN;ロボット支援下) | 86件 |
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根治的腎摘出術(RARN;ロボット支援下) | 15件 |
根治的腎摘出術(腹腔鏡下) | 10件 |
根治的腎摘出術(開腹) | 2件 |
2.腎尿管(主に腎盂がん、尿管がん 19件)
腎尿管全摘術(RANU;ロボット支援下) | 10件 |
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腎尿管全摘術(腹腔鏡下) | 9件 |
3.膀胱(主に膀胱がん153件)
膀胱全摘術(RARC;ロボット支援下) | 15件 |
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経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT) | 138件 |
4.前立腺(主に前立腺がん 75件)
前立腺全摘術(RARP;ロボット支援下) | 71件 |
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小線源治療(ブラキセラピー) | 4件 |
腎移植(30件)
生体腎移植 | 29件 |
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移植用腎採取術(腹腔鏡下) | 29件 |
献腎移植 | 1件 |
腎不全外科手術(184件)
バスキュラーアクセス関連手術(自己血管、人工血管、血管拡張術、血栓除去術、長期留置型カテーテル) |
腹膜透析関連手術 |
慢性腎不全合併症関連手術(副甲状腺機能亢進症、バネ指、手根管症候群に対する手術など) |
その他
尿路結石症手術、前立腺肥大症手術、間質性膀胱炎関連手術、尿路変向術、副腎腫瘍に関する手術など多数 |
スタッフ紹介
教職員氏名 | 役職 | 指導医・認定医資格 | 専門分野・担当 |
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内田 潤次 | 部長 |
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武本 佳昭 | 人工腎部長 |
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鞍作 克之 | 医局長 病棟主任 |
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長沼 俊秀 |
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岩井 友明 | 外来主任 |
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山﨑 健史 |
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町田 裕一 |
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加藤 実 |
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大年 太陽 |
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壁井 和也 |
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行松 直 |
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松江 泰佑 |
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山本 匠真 |
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瀧上 夏未 |
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増田 一輝 |
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和田﨑 陽平 |
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白紙 遼一 |
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関戸 美真 |
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高橋 克弥 |
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松井 七海 |
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矢野 友博 |
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山崎 智洋 |
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松岡 悠大 |
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濱田 晃佑 |
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