中央手術部
基本情報
業務内容
中央手術部は、高度な総合医療機関である当院の中核を担う部門です。外来の日帰り手術から先進医療まで全診療科の手術に幅広く対応しています。 中央手術部の理念は「患者さんを中心としたチーム医療の推進と安全で質の高い手術をめざす」ですが、患者さんに安心して手術を受けて頂き、高度な医療を安全に提供できるように努めています。また、多職種が連携して、清潔な環境の維持、薬剤の管理、医療機器の整備、診療材料の調達、迅速な検査、安全確保のためのシステム作り等を行なっています。
また診療以外にも、将来の医療を担う若手医師、新人看護師、学生への教育にも力を注いでいます。
- 手術看護
手術室での看護は、特殊な技術と知識が必要です。手術室専属の看護師が、手術を円滑かつ安全に実施するために日々努力しています。また、不安を少しでも和らげるために、希望される患者さんへ術前・術後訪問を実施しています。 - 手術麻酔
全身麻酔、脊椎麻酔の管理は全症例を麻酔科医が行います(麻酔科ホームページ参照)。局所麻酔による手術では、各診療科医師が管理します。 - 医療機器操作・保守・管理 (医療機器部ホームページ参照)
医療機器部より臨床工学技士(日勤帯3~5名常駐)が配置され、人工心肺装置、手術支援ロボット、経大動脈留置弁、ペースメーカ装置、手術ナビゲーション機器、自己血回収装置、神経モニタリング機器、ラジオ波焼灼装置等の操作を担っています。また、医療機器の点検、修理や手術中の医療機器トラブルにも迅速対応できるよう、24時間365日対応可能な体制を整えています。 - 薬剤部サテライト
中央手術部内にサテライト薬局を有し、薬剤師(日勤帯1~2名常駐)が中心となって薬剤の調達、麻薬などの薬剤の適正な管理を行なっています。 - 検査部門、レントゲン撮影、病理検査
中央手術部内の検査室では、臨床検査技師(日勤帯1~2名)が常駐し、手術中の麻酔・全身管理に重要な情報となる血液検査を行っています。手術中、手術後のレントゲン撮影は、中央放射線部から派遣される放射線技師により行われています。ワイヤレス送信FPDパネル搭載X線撮影システムの導入により、迅速にレントゲン画像の確認ができるようになりました。病理部からの術中迅速病理診断の結果は、手術室内において執刀医も組織画像を確認できるように、画像転送システムを備えています。このように各部門の協力を得ながら、連携・連絡体制を整えています。 - 回復室
中央手術室回復室では手術後の患者さんの状態を、手術室スタッフが観察します。回復室の入退室は、麻酔科医が患者さんを診察して判断しています。 - 業務委託
手術準備業務 手術に使用する器具・診療材料は、一症例ごとに準備しています。 医療機器搬送業務 手術時に使用する医療機器の搬入・搬出業務を担っています。これにより患者さんが受けられる治療に、医療従事者が集中できるような環境を整備しています。 器械の洗浄・滅菌業務 中央手術部内に洗浄・滅菌機器を有し、緊急手術にも対応できる体制を整えています。 清掃業務 手術が終了するごとに、スタッフが手術室内を清掃し、常に清潔な状態で手術室を使用できるようにしています。 診療材料管理業務 中央手術部内に材料倉庫を有し、常に中央材料部との連携も図っています。病院職員との定例会議を設け、診療材料の効率的運用と、管理を行っています。 - 受付
中央手術部での取り組み
- 手術委員会
中央手術部は、院内の業務改善委員会の一つである「手術委員会」を月一回開催しています。委員は、関係診療科医師、手術部看護師、臨床工学技士、診療放射線技師、病院事務で構成されています。各部門との連携を密にするために、手術室の効率的な運用、医療安全・感染防止、医療機器・備品等の整備に関する協議を行い、中央手術部が円滑に運営できるように調整を図っています。 - 電子カルテを用いた手術申し込み、調整
中央手術部で行われる全ての手術に対して、各診療科の医師が電子カルテにオーダーを入力します。また院内の全ての端末より、申し込みや予約状況確認することが可能となっています。手術室を有効活用するため、空き枠が生じた場合は電子カルテ内のメール、院内Webシステム等を用いて、各診療科へ情報を提供し調整を図っています。 - 看護部体制
2交代体制と遅出勤務を組み合わせ、緊急の手術に対応できる体制を24時間とっています。手術室独自の習得内容があるため手術室ラダーを作成し、活用することによって、高度な手術にも対応できるように日々研鑽に努めています。
特徴・特色
- 手術件数
令和5年度 8,644件(麻酔科管理症例 6,127件)
ロボット支援下手術 510件
ハイブリッド手術件数 220件
中央手術部では、手術室19室(バイオクリーンルーム3室、ハイブリッド手術室1室、鏡視下手術専用手術室1室、局所麻酔対応手術室1室、ロボット手術対応室7室)を備え、運営を行っています。
- 手術中の患者さんのバイタルサインは、部門システムから電子カルテに即時に記録されタイムリーな情報を医療者間で共有することが可能となっています。
- 全手術室内の状況は、麻酔科医局、中央手術部ナースステーションで確認をすることが可能であり、不測の事態にも迅速に対応できるようにモニターシステムを導入しています。
- 中央手術部には、手術器具の洗浄・滅菌が必要な医療機器が整備されており、緊急時の滅菌にも対応しています。さらに、滅菌物のコンテナ収納はコンテナシステムを採用し、電子カルテと連動することによって自動出庫できるよう効率的に運用しています。
手術支援ロボット「ダヴィンチ Xi」を導入
- 最先端技術によって、低侵襲手術が飛躍的に進歩
- ダヴィンチ Xiは最先端の手術支援ロボットで、あくまでも術者の手指の動きを再現する“手術支援”のためのシステムです。これまでの内視鏡視下手術にロボットの機能を組み合わせて発展させた手術で、1~2cmの小さな切開創から内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、高度な内視鏡視下手術を可能にします。中央手術部では令和2年7月にこれまで使用してきたダヴィンチSiの更新、更には10月に1台増設し、毎日2台体制で稼働しています。現在、21の術式で保険収載がされていますが、今後の保険改訂では更に術式の拡大が確実視されており、手術における患者さんへのダメージをより少なくする低侵襲手術は極めて有益であると考えています。
ハイブリッド手術室をリニューアル
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ハイブリット手術室とは通常の外科治療を行う手術室の機能に加え、血管造影検査に用いるX線撮影装置を組み合わせた手術室です。特に循環器領域の低侵襲治療として内科的血管内治療と外科的介入が見込まれる手術には必要不可欠な設備となっています。
当院では、平成 25 年度からハイブリッド手術室の稼働が始まりました。導入当時は清潔環境の整った本格的なハイブリッド手術室は国内でも少なく、導入以来大動脈ステントグラフト内挿術を施行する有数の施設として稼働してまいりました。現在は、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)や経皮的僧帽弁接合不全修復術、経皮的左心耳閉鎖術などの Structural Heart Disease(SHD)にまで対象の施術を拡大しています。さらに、救急領域の塞栓術や脳血管、末梢血管に対する高度な医療技術にも対応しており、複数の診療科でハイブリッド手術室を利用している病院で、全国的にも希少となっています。
今回リニューアルしたハイブリッド手術室は有効床面積が約80m2と広く、臨床工学技士か操作する人工心肺装置や補助循環装置などの大型機器を設置しても十分な広さを確保できています。また、2面の天吊り大型モニタを配備しているため、執刀医師のほかに、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、診療放射線技師などの多職種が手術の進行状況をこれまで以上に情報共有できるようになり、手術室における更なる安全性の向上に繋がっています。
また、放射線被ばくに対する安全管理は重要性を増しています。患者さんの被ばく線量評価が視覚的に可能であり、より安全に低侵襲な治療が可能となっています。中央手術部では、患者さんの負担を軽減し安心して手術を受けられる体制を整えております。
スタッフ紹介
部長(形成外科教授) | 元村 尚嗣 |
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副部長(麻酔科准教授) | 松浦 正 |
主査(臨床工学技士) | 定 亮志 |